アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の登場人物のようになっていると、エマニュエル駐日大使がSNSに投稿。秦剛前外相、中国軍でロケット軍トップ2人の更迭と見られる交代人事をこれまでに伝えている。新たに動静が途絶えているのが李尚福国防相。すでに1カ月以上公の場に姿を見せていない。中国政府はその理由を明らかにしていないが、複数の海外メディアは「当局の調査を受けていて解任された」という見方を伝えている。李尚福国防相は、中央軍事委員会のメンバーで、国防相就任前は装備発展部のトップを務めていた。この部署は装備品の関係で多額のお金が発生することから、李国防相が受けている調査は入札をめぐる汚職に絡むものではないかという見方も出ている。最近も、北京で習近平氏ら指導部が出席する行事があったが、いずれも李国防相や秦剛前外相らの姿は確認されたとは伝えられていない。過去の例を見ても、公式の行事に姿を見せなくなると失脚は濃厚と言えるという。いずれも習主席によって抜擢されたという特徴がある。ロケット軍という組織も習主席によって格上げされた。いずれも習主席の権力の集中が可能にした肝いり人事だった。だがこうした人達が粛清の対象となっている。こうしたブレが起きているのは、習主席が異例の3期目に入り人事で自らの周囲をイエスマンと言われる人たちで固めた。そもそも中国共産党は「文化大革命」への反省から集団指導体制を導入し、1人の指導者に権力が偏らないようにしてきた。しかし習主席は人事を通じこの制約を外してしまったため、習主席の決定に歯止めをかけるのが難しくなったと言われている。それがこうしたブレを生じさせているという。今回の失脚と見られる動きは、習主席が人選ミスと見られるのを避けたためなのか、体制を引き締める狙いかはわからないという。今後について、習主席が何を打ち出すかわからないという意味では、現状をリスクととらえる国内外の見方が強くなるのは避けられないという。