砂本三郎が描いた130枚に及ぶリアルな“戦場スケッチ”は、全て記憶だけで描いたものだという。砂本は戦後28年を経たある日、復員後勤めていた会社の碁会所で突然脳出血で倒れた。一命を取り留めた砂本は、なぜかそこから毎日のように写経や絵を描き始めたという。砂本の息子の弘行さんは、戦争体験をほとんどしゃべらなかった父が膨大なスケッチを残していたことに衝撃を受けたという。そこにはガリガリにやせ細った自画像や、戦地の惨状が描かれていた。中には狂気が横行する戦場で、懸命に正気を保とうとする自身の姿もあった。
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