第62回ギャラクシー賞 奨励賞受賞「森の名探偵ととなりのクマたち」を紹介する。クマのカメラマンの写真を撮った森の名探偵と呼ばれる写真家宮崎学さんは自分の匂いをつけたダミーカメラを置いている。動物たちはにおいを嗅ぎ分けていると実験すると次々と野生動物らが匂いを確かめに来ていた。宮崎さんはクマを追っていてわずかな手がかりから動きを読む。クマは人里になぜ出没するのか、写真と映像で実態が解き明かされる、そして森の動物たちに起こった異変とは。長野県伊那谷の中央アルプスと里の間の山の中で宮崎さんは人がいることを声で出しながら小さな変化を確認しながら注意深く進む。匂いをつけたカメラを倒したのはクマだった。クマたちは必ず匂いを嗅ぐ、犬よりも優れた嗅覚をもっているという。クマは匂いチェックのついでにちょっかいを出すことが分かり、紹介した「ツキノワグマのカメラマン」につながった。正面から飛来したカケスは生態を調べたからこそ撮れる一枚だった。対象はあらゆる生き物だが、カメラ・照明・動物のセンサーなどを配置する独特の撮影方法で自動で撮影している。動物たちがいつどこで何をするか調べて読んで物語のある一枚を撮影している。20年ほど前には宮崎さんは鳥の巣箱にある毛から200m以内にクマがいたと推測、クマと人を撮影テーマにした。機材を作り、駒ケ根高原でクマの痕跡を探し自動撮影の機材を遊歩道で組み、当時目撃情報がなかった場所でツキノワグマの百カット以上の撮影に成功した。