圧倒的な強さで横綱まで上り詰めた大の里だが、活躍の裏には家族の支えがあった。大の里は小学1年生の時、当初は野球を習いたいと思っていた。20代半ばまで社会人の相撲選手だった父・知幸さんが「まずは相撲で足腰を鍛えてから」と勧めたのがきっかけで地元の津幡町少年相撲教室に通うようになり、父もコーチとして指導していた。毎日新聞によると小学6年の時、大の里が父に「能生に行きたい」と新潟の中学校への「相撲留学」を希望。息子の固い意志を確信した父は留学を了承した。日刊スポーツに寄せた手記の中で、父は当時について「多くの人に『裏切り者』と言われ、地元の少年相撲教室でもそれまでのように指導ができなくなった」と明かしていた。2021年12月、両国の居酒屋で大の里は同席した友人に説明する形で「オレたち親子は本当につらかった」と涙を流しながら話したという。父が相撲と関わることができなくなったのは自分の責任と感じ、何とか見返そうとしていたことを知り、父は手記の中で「いつも誰かの思いを背負う優しい性格に育ったことが、横綱に昇進することよりも親としてはうれしい」と記していた。ジャーナリスト・柳澤秀夫は「被災地・石川の復興と自分の頑張りそのものを重ね合わせているんだなという気がした」、「NO YOUTH NO JAPAN」代表・能條桃子は「一度石川を出たが、被災地になった石川への思いを持って相撲を頑張っていて興味を持つ」などとコメントした。