続いての依頼人は愛媛県・久万高原町の和泉ゆみえさん。体調を崩した義父の300坪の庭を家族で作業している。そんな和泉さんのお宝は義父が手に入れた「ケンポナシの根の置物」。ケンポナシは日本では古くから建材や工芸品の材料として活用された。例として江戸指物は生地本来の美しい木目を活かす伝統工芸。ケンポナシはクロウメモドキ科に属し、日本では北海道の奥尻島・本州・四国・九州に分布。初夏に咲く花の密は良質のハチミツとなる。秋には直径1センチほどの実がなるが、食べることはできない。しかし、実の根本にある果柄を食べると梨のようなシャリっとした食感と甘みがあり、名前の由来となっている。近代になり木材需要の増加からケヤキなどの代用品として伐採されることが多く、絶滅が危惧される植物にリストアップされている。都内でもほとんど見ることができないが「戸越八幡神社」の境内には樹齢300年のケンポナシの老木が御神木として崇められており、品川区の天然記念物に指定されている。
