美味しい料理と共に、観光列車人気を支える秘密がデザイン。1992年7月15日、観光列車革命の先駆けとなる列車・787系特急つばめがデビューした。九州縦断の旅を快適に。これをコンセプトに造られた列車。ガラス張りのボックス席。そこに温かみを演出するためにテーブルなどに木材を用いた。当時、木材は列車にはほとんど使用されていなかった。おしゃれなドーム形天井のビュッフェなどでホテルのようにくつろげる列車として大人気に。デザインを手掛けたのは、工業デザイナーの水戸岡鋭治さん。実は、夏木マリらが乗っているザ・ロイヤルエクスプレスも水戸岡さんがデザインした。かつては、木材を使うことは鉄道業界にとって最大のタブーだった。理由は列車火災。木材を使いたいという水戸岡さんの提案は車両の製造現場から大反対を受けたという。諦めきれなかった水戸岡さんはアルミに木材を張り合わせて燃えにくくした不燃シートという素材に行き着いた。
