25年前、埼玉県のJR桶川駅前で女子大学生だった21歳の猪野詩織さんが殺害された桶川ストーカー殺人事件。ストーカーへの対応の難しさなどを突きつけたこの事件では警察が取った不適切な対応も大きな問題となった。遺族の警察に対する今の感情、そして娘への変わらぬ思いを取材した。父は娘にさみしい思いをさせたくないと遺骨は今も自宅に置いていると話していた。白昼に起きたこの事件は女性の元交際相手らによって引き起こされた。別れ話がきっかけとなった執ような嫌がらせのときの音声が残っている。自宅周辺には中傷するビラもばらまかれた。被害を訴える家族に対し警察は個人のトラブルには介入できないなどとして告訴を取り下げるよう求めたり、うその書類を作ったりするなど不適切な対応をしていた。事件後、埼玉県警のトップみずからが謝罪する事態になった。こうした警察の対応は大きな批判を浴びストーカー規制法が成立するきっかけにもなった。父は同じように悲しい思いをする人を減らしたいと事件の半年後から講演を続けている。その中で直面したのが被害の防止には警察の力が欠かせないという現実だった。父が向かったのが京都。待っていたのは京都府警の警察官、西田勝志。7年前、ストーカー被害の相談を担当していた西田は猪野に若手の警察官に話をしてほしいと依頼。それ以降、交流が続いている。かつて憎んだ警察への講演はことしで8年目を迎える。皆さん、詩織の華やかな最後の写真だった。当時の警察の対応について多くの時間を割いている。そして講演でもう1つ伝えていること。それは警察へのエール。事件について娘は容疑者、警察、メディアによって3度殺されたと話している。当時、週刊誌やワイドショーで詩織の側に落ち度があったかのような情報が流され尊厳が傷つけられたと感じているから。猪野はメディアに対しても真の報道のために努力し続けてほしいと求め続けている