全体の4割に当たる744の自治体が消滅可能性自治体に該当。前回の896から減ったものの、少子化の流れは変わっていないとしている。消滅可能性自治体から脱却した国内有数の養殖ぶりの産地、人口9600の鹿児島・長島町。町内に高校がないため、子どもたちのほとんどが進学を機に地元を離れてしまい、10年前には消滅の可能性があると指摘された。危機感を強めた町が始めたのが「ぶり奨学金」。外の世界を回遊したあとにUターンしてもらうねらいで、子どもが町外の学校を卒業したあと、10年以内に戻って定住すれば、元金や利息の返済を町が肩代わりする仕組み。これまでに376人が受給し、22歳以上の人ではUターン率は51%。鹿児島・長島町にUターンした1人の男性は、熊本・熊本市の専門学校に通っていた2年間、計120万円の奨学金を受給。今は町に戻って地元の消防に勤務。男性は「ぶり奨学金の存在が帰ってくるひとつの要因になった」と語った。おととし結婚し、去年7月に男の子が誕生。消滅可能性自治体から脱却したことを受けて、きょう長島町・川添健町長は「大変うれしい。不安の中で子育て(支援)や経済対策をやってきたが、今回の調査で成果が得られた」と述べた。今回、消滅可能性自治体は152減った。将来、外国人の入国者が増加すると見込まれることが大きな要因で、有識者グループは「実態として少子化の基調は変わらず、楽観視できる状況にはない」としている。10年前に続き、今回も中心となって分析に当たった人口戦略会議副議長・増田寛也元総務相は「子どもの数を増やすのは非常に時間がかかるし難しい。移住者を自分たちの自治体に呼び寄せようと各自治体がそっちに走ったため、国トータルでみると事態はあまり改善されなかった。自治体間の人の奪い合いに流れていった」と現状への危機感を語った。