韓国の新たな大統領に、革新系野党の李在明氏が就任した。就任直後の会見は「(大統領の庁舎が)まるで墓のようだ。誰もいない」という異例の言葉で始まり、前政権が業務を妨害し引き継ぎが出来ない状態だと訴えた。前の大統領は罷免された尹錫悦氏で、李在明氏は選挙中も「どんなことがあったも尹錫悦の復帰を許してはいけない」などと述べ、尹氏を常に意識していた。2人の対立は3年前から始まっていた。前回の大統領選では一騎打ちの末、史上稀に見る僅差で尹氏が勝利。その後最大野党を率いた李在明氏と尹政権の対立が先鋭化していった。特に対日関係では立ち位置が分かれ、尹政権は「徴用工問題」で日本側の主張に沿う形で大幅譲歩に踏み切った。李在明氏は「屈辱外交」と弾じ、予算や法案が議会を通過しない状態にして対決姿勢を鮮明化した。すると尹氏は「李在明氏率いる野党が北朝鮮と結託している」などと主張し、非常戒厳令発令に至った。そして一連の混乱から尹大統領の弾劾・罷免を経て、今回李在明氏が新たな大統領に選ばれた。大統領選の中では日本との関係をめぐって「日本は重要なパートナーだ」と述べ、現実的な穏健路線へと舵を切った。一方で宿敵の尹前大統領に関しては選挙戦で批判を前面に出し、国民の分断を引き起こした。