政府は防衛費増額の財源として、保有するNTT株を売却する案の検討に入った。NTT株のうち3分1は法律の取り決めにより政府が保有しているが、今後はこの法律を見直すという。仮にNTT株を全て売却した場合5兆円の財源になると見込まれている。NTTは1985年に日本電信電話公社の民営化に伴い発足し、87年の上場後は個人投資家からの人気を集めて時価総額1位になるなど好調な経営が続いていた。一方で、近年は通信の主役がインターネットに移行したことから改革も求められている。こうした中で浮上した政府の売却案に対し、自民の世耕幹事長は「防衛財源のタマとしては不十分だが、完全民営化することでNTT自身の競争力を強化できるのではないか」と語った。政府は株式売却の具体案としてNTTが実施する自社株買いの枠組みを利用し、25年をかけて売却を進めることで株価下落を下げるとしている。