近い将来、発生が懸念されている南海トラフ巨大地震。国の新たな被害想定では、初めて災害関連死が推計され最悪の場合、5万2000人に上るとされた。災害関連死は、阪神淡路大震災で921人、東日本大震災では3808人で、単純な比較はできないが、今回の推計は東日本大震災の13倍を超えている。関連死を防ぐには避難所で体調を悪化させないことが重要。自治体は冷暖房機器やトイレ、ベッドなどを備蓄しておく必要があるが、十分ではない実態が明らかになった。最大10メートルの高さの津波が想定されている宮崎県新富町では災害関連死を防ぐため、避難所の環境の整備に力を入れているが、段ボールベッドなどは、特に支援が必要な人の半分も賄えていない。また携帯トイレも、避難者が1日に必要とする数の1割余りにとどまっている。NHKは、短時間に浸水などが予想される139の自治体を対象に、アンケート調査を行った。その結果、93%に当たる125の自治体が「冷暖房機器やトイレなどの備蓄が十分ではない」と回答。災害関連死と密接な関係があるこれらの備蓄が全くない自治体もあった。課題を複数回答で聞いたところ、「保管スペースの不足」が最も多く、「予算の不足」が続き、「数量の想定が困難」も30%に上った。ベッドの備蓄では兵庫県南あわじ市も試行錯誤を重ねている。キャンプ用の折り畳み式の簡易ベッドを500台近く準備した。段ボールベッドより湿気に強く、10分の1ほどのスペースで収容も可能。さらに市は、災害時に発泡スチロール製のベッドなどを供給してもらう体制も、メーカーと協定を結んで整えた。備蓄とともに自治体には、体制の整備や計画作りも求められている。災害時のトイレの確保や管理の計画は、85の自治体が作成していないと回答した。こうした中で徳島市は県と連携。県が作成した国際基準に基づくトイレに関するマニュアルを使って、災害時に必要な数を上回るトイレを備蓄場所とともに確保した。専門家は、自治体単独での備蓄や運用は難しいと指摘したうえで「都道府県、国の力を借りる。共同型で計画をブラッシュアップしていくといい」とコメントした。