今月1日から勤務医の時間外労働にこれまでなかった上限が設けられた。そのため診療体制を縮小する病院も相次いでいる。医師の働き方改革に取り組む現場を取材した。彩の国東大宮メディカルセンター、午前6時半、病棟に向かう脳外科の長田医師の姿があった。労働時間外の上限が厳密化されても、患者が減ることはない。受け持ち患者15人を回診後、手術予定の患者の元へ。この日は2件の緊急手術が入っていて、何時に終わるのかよめない状況だった。手術が終わったのは午後5時半。本来なら勤務が終わる時間だが、この後落ち着いたら遅番に入りそのまま当直に入るとのこと。遅番の時間は病院によっては労働時間としてカウントされない。宿日直許可という特例があるからだ。普段の業務と比べて軽度で十分な睡眠がとれる場合、病院は労働基準監督署から許可を得ればその時間は計算上、労働時間から除外できる。4月から始まった医師の働き方改革、上限がなかった時間外労働が原則960時間に制限されたため、宿日直許可をとる病院が急増している。軽度となる業務の判断は各病院に委ねられているのが実情で、この病院では宿直中、患者の対応にあたった時間を記録に残し労働時間に合算する取り組みを始めた。医師という専門職ならではの葛藤もあるといい、長田医師は「時間外の定義がどこまでが時間外なのか試行錯誤しながらやっていくので。そもそも時間外がどんなことかまだ浸透していない」などと話した。