房総半島南部で太平洋に面した千葉県勝浦市。実は観測が始まった1906年以降、最高気温が最も高かったのは1924年8月23日の34.9度、35度以上の猛暑日を記録したことはない。訪れた観光客は「すごい風が涼しい」「日が出ているのに結構涼しくて過ごしやすい」等と話した。観光需要の高まりを受けて市内では新たな施設も設けられている。今月オープンする宿泊施設では夏の涼しい気候を生かそうとすべての客室に庭がついていて愛犬と遊ぶこともできるのが売りとなっている。一方、地元の観光協会が運営する自転車のレンタル。涼しい風を感じられると人気で夏休み期間は予約が殺到している。勝浦市観光協会・麻生さんは「車で来たけど自転車を借りて勝浦の町並みを見ながら海沿いとか走って気持ちよく海風あたりながら勝浦を観光したいという人が多く来る」と話した。勝浦市の涼しさは海の深さと吹きつける風が大きく関係している。千葉大学・市井教授は「勝浦市付近は一帯がリアス式海岸と呼ばれ、海岸から急に深くなる地形を構成している」と話した。勝浦市の沖合は急に深くなっているため、海底付近に日光が届きにくく冷たい海水がある。夏に南風が吹くことで海面近くを押し流し、その冷たい海水が上がる。それによって風も冷やされて陸地まで届き気温が低くなるという。観光客が増える一方で問題も起きている。勝浦市を訪れる観光客は車を利用する人が多く、駐車場が十分にないこともあって、路上駐車も目立つようになった。そこで市が導入を目指しているのが駐車場のマッチングサービス。金額が表示されているのは土地の所有者が登録した空きスペースで、サイト上で予約決済することで駐車場として利用できるという。市は近くサービスの運営会社と連携協定を結ぶことにしている。勝浦市観光商工課・岩瀬課長は「駐車場を確保するのは大きな課題だが、観光客増加を千載一遇のチャンスと捉え、地域の元気につなげていきたい」と話した。