中国の人口は2年前に61年ぶりに減少に転じた。中国の政府系の研究機関によると出生率は2022年に1.07で、日本の同じ年の数字1.26を下回っている。中国政府は2016年にそれまで30年以上にわたって続けた「一人っ子政策」を廃止したが、少子化に歯止めがかからない状況。そんな中でも成長を続けているのが産後ケアなどベビーマタニティー市場。去年の市場規模はおよそ142兆円。中国には、古くから坐月子と呼ばれる風習がある。出産後およそ1か月間母親は家事や外出はせずに栄養のある食事をとりながら体を休める。今は、専門の産後ケア施設を選ぶ人が増えている。施設の数も10年前は500余りだったが、去年には5000を超えていると推計されている。サービスの質は年々向上し近年は高級化の傾向にあり、施設では子ども1人に惜しみなくお金を使おうと考える人が増えているとみている。自宅で産後を過ごす人にも変化が出ている。産後のケアを専門にする月嫂と呼ばれる家政婦が住み込みで食事の用意や赤ちゃんのお世話をサポートするサービスは、近年需要が拡大している。一方、月嫂を派遣する会社では、多様なニーズに応えようと社内に専用の研修施設を設けている。会社では客からの評価などに基づき月嫂を9段階にランク分けしている。最も高いランクだと、給料は毎月40万円近いという。職業そのものの人気も高まっている。会社の代表は少子化が続く中でも業界は、さらに成長すると考えている。