ウクライナとガザ地区で続く2つの戦争は、今世界の核軍縮の取り組みを一層困難にしている。鴨志田郷解説委員が「NPTは世界の191の国と地域が加盟していて、核兵器を保有する米国、ロシア、中国、英国、フランスの5カ国に核軍縮を義務付け、その他の国には核兵器の開発や保有を禁止して、核の不拡散を求めている。この条約のあり方を議論する加盟国の会議が先月から今月にかけてスイスで開かれたが、ウクライナやガザ地区で続く緊張を受けて各国の対立や分断が際立った。NATO(北大西洋条約機構)の中では、米国の核兵器を各国に配備する核共有を拡大するよう求める声もある。その結果、世界の核弾頭のおよそ9割を保有している米国とロシアの軍縮交渉は暗礁に乗り上げ、この間に第3の核保有国の中国は着々と核武装を進め、そしてNPTからの脱退を一方的に宣言している北朝鮮もロシアとの関係を強めながら、核ミサイル開発に邁進している。この2つの戦争をきっかけに、核の脅威には核で対抗するという空気が広がる中、世界を核軍縮の道へと引き戻すことができるのか、誰よりも核兵器の恐ろしさを知っている日本の取り組みが、これまで以上に求められている」とスタジオで述べた。
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