韓国の大手紙、中央日報が日本と北朝鮮の代表団が先月の中旬にモンゴルのウランバートル近郊で会談したと岸田総理や金正恩総書記の写真を使って大きく報じた。日本と北朝鮮というと最大の懸案は拉致問題の解決。岸田総理はかねて日朝首脳会談の早期実現に向けて総理直轄のハイレベルで協議を進めていくとしており、さまざまなルートで接触を試みようとしている。その中で今回のルートについて林官房長官は事柄の性質上答えは差し控えると肯定も否定もしなかった。ただ、ある政府関係者は総理直轄の正規のラインとは違う。連動したものではないという見解を示している。また、記事には日本の代表団に政治家も含まれていたと書かれているが、独自のネットワークを持つ政治家が個別に北朝鮮と交渉するということはこれまでもあった。ただ、これまで北朝鮮との交渉に関わった外交関係者は政治家ルートで成果があったためしがないと否定的。今の韓国の尹政権は北朝鮮に非常に厳しい姿勢。北朝鮮側も韓国のことを第一の敵国とするなど関係はあまり良くない。そうした中で韓国としては日本が北朝鮮と近づくのを警戒しているという。今回の報道では日本が経済的な支援を求められることも示唆する内容というのもあり、日本側を牽制する考えがあったとみられる。拉致被害者家族会は高齢になっている被害者の親世代が存命のうちに被害者全員の一括帰国を求めるとしているがなかなか楽観できる状況ではない。ある外交関係者は一般論でいえば北朝鮮は弱い政権は相手にしないと述べ、今の岸田政権のもとでは交渉が簡単ではないという見通しを示している。ただ、岸田総理としては政権の起死回生の一手としても日朝首脳会談に強い意欲を示しており、ある政権幹部は今のこう着状態は打破しないといけない。首脳会談は必ず実現したいと意気込んでいる。