今日のテーマは「変貌する日立」。昨日就任した徳永俊昭社長は日立に勤めた父を持ち、創業の地・日立市出身といういわば日立の大本命。日立はグループ会社の名前が並んだCMが特徴的で、総合電機メーカーの日立を象徴していた。しかし2009年3月期に製造業として過去最大となる7873億円の最終赤字を計上すると、事業の選択と集中に着手。かつては日立御三家といわれた日立化成や日立金属まで売却し、今ではITやエネルギー・鉄道などの社会インフラ事業を中心とした企業になっている。そして更なる成長の核が「ルマーダ」。日立の強みであるITとOTに製品を組み合わせて顧客のデジタル化を支援する事業。4半世紀前にイギリスで鉄道事業を始めた日立。今では日立製の車両が約350編成・2000両が走っている。車両も現地で生産。イギリス政府が進める次世代高速鉄道計画でも車両の設計や製造などで中心的な役割を担っている。ここで日立が半導体大手のエヌビディアと組んで手がける最先端の取り組みが、デジタル技術を活用した鉄道の保守サービス「HMAX」。車輪にセンサーを設置して車両やレールの状態などを確認。また車両の上部にもカメラを設置してデータをリアルタイムで収集する。AIを使って異常を検知できるため、営業中の列車でもドクターイエローのような役割を果たすという。保守にかかるコストは最大で15%削減でき、メンテナンスの人手不足解消にも貢献できるという。