少年事件記録の取り扱いはどうあるべきか。保存と活用が進む米国を取材した。米国では、殺人などの重大少年事件の記録は原則、永久的に保存。その記録は州によって取り扱いが異なるものの、遺族や研究者などに開示されている。34年前、当時16歳の少年に妹夫婦を銃殺された女性。妹のおなかには赤ちゃんがいた。女性は弁護士とともに事件記録の閲覧を続けている。この日は、当時の法廷で少年が供述した記録を確認した。少年事件の記録は研究や教育にも活かされている。少年犯罪心理学が専門のハイデ教授は「記録を見れば、その少年がなぜこんな行動をとったのか、よく理解できる。家族の情報が手に入るから」「閲覧できる人を限定するなど加害者のプライバシーに配慮した上で、記録は社会のために活用できる」「一次記録、その原本がとても重要。情報があれば犯行のパターンがわかり、精神的な病理を理解できる。見逃していたことが、実は事件を防ぐための手がかりだと記録から気付くことがある」と話す。