年金制度改革の方向性について、厚生労働省の社会保障審議会の部会は報告書の案を示した。基礎年金を底上げするため、物価や賃金の上昇率よりも給付水準を低く抑える期間を短縮する案については、経済が好調に推移しない場合の備えとしてさらに検討を深めるべきだとしている。一方この案では比較的財政が安定している厚生年金保険料の積立金を活用するため、過去30年間と同程度の経済状況が続く場合、厚生年金の受給者は現行制度に比べ一時的に給付水準が下がることなどから慎重な意見も多かったという。短縮案を実施する場合、追加の国庫負担は年間1兆~2兆円程度必要になる見込み。厚生労働省はこうした内容を踏まえ、与党などと具体的な制度について協議し、来年の通常国会に必要な法案を提出したいとしている。