容疑者や被告が捜査に協力する見返りに刑事処分を軽くする制度「司法取引」の運用を検察が拡大し、特殊詐欺の捜査にも適用していく方向で検討を進めていることが分かった。これまでに適用が明らかになっているのは、特捜部事件を中心に7年間で5件。特殊詐欺の去年の被害額は過去最悪の718億円。犯罪ごとにメンバーを入れ替えたり、秘匿性の高い通信アプリで連絡を取り合ったりしている他、捜査に非協力的なケースも多く、どのように組織の中枢メンバーの摘発につなげるかが課題となっている。藤井敏明教授は、「検察として対策のひとつとして考えるのは合理的かな」などとし、「供述の信用性の問題は避けて通れない」などとリスクもあると指摘する。警察はことしから仮想身分捜査を導入している。