東京・新宿区四谷にある民間の教育施設では学校に行くのが苦手な小中学生などが通っている。目指しているのは「自分で考える力を育む」こと。この日、子どもたちが取り組んだのは木のブロックで橋を架ける課題。より少ないブロックでつなぐため、子どもたちは試行錯誤していた。この課題を出した施設の共同代表の井本陽久さんはかつて中高一貫の進学校で数学教師をしていた。カリスマ教師とも呼ばれ優秀な生徒相手にやりがいを感じていた。一方、学校に行けず苦しむ子どもたちの力になりたいという思いも次第に強まった。8年前、学校勤めのかたわら学び場の運営に乗り出した井本さんは去年、学校を離れこの取り組みに専念するようになった。11月からここに通っている小学6年生の由井麗紗さんは「これはこうですと教えられるより自分たちで考えられるからいい」と話していた。別の日、子どもたちが取り組んだ問題は「左右の円とその重なる部分にはある法則に従い数字が振り分けられている。その法則を見つけ出せ」というもの。まず子どもたちが見つけたのは左側には素数が右側には偶数が入るという法則。ここで井本さんが示した数字は2。2は素数でかつ偶数でもあるので2つの円が重なる真ん中に入るはず。ところが、予想に反して2は左側に入った。正解と確信したものが違うと気付いたときこそ新しい視点が得られるチャンスだと井本さんはいう。そんな中、麗紗が別の法則に気付いた。注目したのは数字の形。左側の数字には直線が含まれている。一方、右側の数字には線が交わり閉じた部分がある。真ん中に入るのはその両方が含まれる数字だと指摘、見事正解にたどり着いた。