今年4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が強化されて、物流業界の環境改善が喫緊の課題となっているが、その切り札の1つと位置づけられているのがトラックGメン。運送会社のドライバーの適正な働き方を確保するのがミッションで、任命された国土交通省の職員が全国に160人余りいる。具体的には、発注側の荷主が運送会社に運賃などで無理な要求をしていないかチェックして、問題があれば是正指導を行う。中国地方で活動しているGメンに密着した。先月、Gメンが向かったのは、広島市内の物流倉庫周辺。路上には列をなすトラックがあり、荷物の積み降ろしの順番を待たされる“荷待ち”ではないかと、ドライバーから聴き取りをしていた。Gメンはドライバーなどから集めた情報をもとに、悪質だと判断した場合は、荷主などに長時間の荷待ちをさせないよう働きかける。Gメンが目を光らせるのは、長時間労働だけではない。去年から相談を受けている運送会社を訪問。一部の荷主が運賃交渉に応じてくれないことに頭を悩ませている。運送会社の経費は上がり続けている。ドライバーの労働時間を短くするため、高速道路の利用を増やしたほか、ドライバーをつなぎ止めるために賃金の引き上げも必要になっている。しかし、運賃への価格転嫁を求めても、荷主側が受け入れないという。会社どうしのやり取りで改善が見られなければ、Gメンが直接乗り出すことも視野に入れている。