埼玉県は国の点検に準じたやり方をこれまで続けてきた。しかし、それでも異状を発見できなかった。作業員がマンホールに入り、水漏れやひび割れがないかを目視で確認。また、管の中に小型カメラを入れて異状がないかを画面越しに確認する。こうした点検を5年に1回以上行うこととしてきた。国は義務づけている点検の対象を構造や材質から腐食しやすいものに限定していた。国は専門家による委員会を設置し、現在の点検方法・頻度が適切かどうかについて議論し、再発防止策の検討をするという。東京都や大阪府などの7都府県の下水道で緊急点検が行われ、異状が3か所見つかった。今回の緊急点検は応急的なものにとどまっている。また、対象となった下水道管の長さは約420キロメートル、日本全国の下水道管の約0.1%にとどまっている。標準的な耐用年数50年を超えた下水道管は全国に多数存在。2042年度末には約20万キロメートルが耐用年数50年を超えたものとなり、全体の約40%にのぼる。下水道管が原因で発生する道路の陥没は全国で相次いでいる。50センチメートル未満の小規模なものがほとんどで、今回の規模の陥没はこれまでになかった。太い管が深い位置にあったということで、多くの土が管の中に入り込んで大きな陥没につながった。今後は点検を行った上で、補修または交換という2つの方法がある。全国の下水道管の総延長は約49万キロメートルで、地球12周分に相当する。インフラの維持・管理を担っているのは地方の公共団体。財政状況や人手不足などを背景に対策が進んでいないのが現状。国土交通省は「地域インフラ群 再生戦略マネジメント」の本格導入を目指している。複数の自治体がひとつの「群」のように連携し、インフラの管理を一体的に進める仕組み。