東京・隅田川にかかる新大橋。そのたもとに石碑が立っている。関東大震災の10年後に地元の人達が建てたものである。震災では地震の他に大規模な火災が発生。日本橋周辺でも大きな被害が出た。焼けたり壊れたりする橋が多い中、当時から鉄製だった新大橋に人々は避難した。避難してきた人の多くは大荷物を抱えていたが、荷物に火がつき橋の上が炎上するのを防ぐため、警察官などは川に荷物を捨てさせた。石碑には”泣きて拒みしも萬人の生命には替え難し”との文字が。大事な荷物を捨てさせた決断を称えている。地元の人達もこうした石碑の価値を見直そうとしている。相次ぐ災害に危機感を感じ、3年前から防災訓練とともに石碑の掃除も始めた。災害時自分たちはどう行動すべきか問われていると感じている。過去の災害を伝える取り組みは国も始めている。国土地理院は4年前に地図記号”自然災害伝承碑”を選定。ウェブ上で地図も作っている。全国で登録された碑をクリックすると、災害に種類とともに碑が建てられた年や内容を見ることが出来る。