午前9時すぎ、自民党本部に集まるのは、「インナー」と呼ばれる議員たち。税に関する専門知識を持ち、毎年行われる税制改正議論を事実上牛耳ってきた。しかし、宮沢洋一税調会長は、今年の議論について「税の論理だけではない世界がある」と話す。衆院選で与党が過半数を割り込み、これまでのように法案を成立させることが難しくなったことで、国民民主党とも協議を行う必要があるため。議論の焦点は、「103万円の壁」の見直しでどう折り合うか。国民民主党・玉木雄一郎代表が求める所得税の非課税対象を103万円から178万円に引き上げた場合、政府は国と地方あわせて7〜8兆円の減収が見込まれると試算。予算運営や国会編成で国民民主党の協力を取り付けながら、大幅な税収減も避けるという“二兎を追う”ことになった少数与党の自民党。