解説委員・土屋敏之の解説。先日、大手電機メーカーのパナソニックが2027年末までにすべての蛍光灯の生産を終了すると発表した。去年、11月にジュネーブで開かれた「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」で、2027年末までに段階的にすべての一般用の蛍光ランプの製造、輸出入が禁止されることが決まった。蛍光灯は微量の水銀を使用していて、原理的に水銀をゼロにすることは難しい。それまでに製造、輸入されたものの販売や使用はその後も可能。国内で使われている照明器具はまだ3〜4割が蛍光灯とみられている。2013年に採択された条約では、水銀の採掘から貿易、使用、排出までの全体が規制対象。すでに禁止、これから禁止されるものを紹介。2028年以降も製造は一部の塗料などに限られる。世界的には水銀は現在も多く使われていて、環境中にも排出されている。規制の背景に世界的な水銀汚染があり、世界の小規模な金の採掘現場で使用される水銀が淡水や土壌に年間1220トン流出している。流域住民の体内から高濃度の水銀が検出されるケースもある。水銀は石炭、セメント原料、金属鉱石などにも含まれていて、大気への放出は年間2220トン。海の食物連鎖でも水銀が蓄積。日本では「妊婦は一部のマグロやクジラ類を食べ過ぎないように」と国が目安の量を設けている。国と業界団体は水銀を含まず、電力消費も少ないLEDへの転換を推奨。蛍光灯は形状などが同じでも点灯方式に違いがあり、方式が合わない蛍光灯の管だけの交換は火災の危険があるので注意。LEDに関連する事故は年間数十件報告されている(事故情報データバンク・消費者庁、国民生活センター)。日本照明工業会は菅だけの交換ではなく照明器具自体の買い替えを呼びかけている。照明器具の耐用年数は約10年。蛍光灯用器具はすでにほぼ製造中止となっているので、古くなったらものから計画的な買い替えを。