今後のEU(ヨーロッパ連合)の重要な政策を左右するヨーロッパの議会選挙。フランスの結果について、山下毅解説委員のスタジオ解説。まずフランスでも極右政党が大勝する見通しとなった。ヨーロッパ議会選挙で81議席を争うフランスでは極右政党「国民連合」が、マクロン大統領率いる与党連合に対し獲得議席で倍以上の差をつけて大勝する見通し。6月30日の1回目の投票で、それぞれの選挙区で過半数を得る候補がいなかった場合などには7月7日に決選投票が行われる。多くの選挙区が決選投票になるとみられている。仮に1回目の投票で極右政党の候補が1位、与党連合の候補が2位になり、上位2人の決選投票になった場合、3位以下の候補の支持層が2位の与党連合の支持に回る可能性がある。マクロン大統領としては、決選投票になれば極右政党の躍進に危機感を持つ有権者が与党連合に投票してくれるという期待があるのではないかとみられる。ただ、国民連合を率いるルペン氏は「準備できている」と述べ、望むところだという姿勢なので、マクロン大統領の思惑通りにいくかどうか予断を許さない。なぜ極右政党がこれだけの伸びを見せたのかについて。極右や右派の政党はEUに懐疑的。EUが取り組むウクライナ支援、移民の受け入れ、環境政策に否定的。こうした極右や右派の主張がフランスだけではなくヨーロッパの人々の間に支持を広げているということ。国民議会選挙で極右政党が躍進した場合、どうなるのかについて。大統領と国民議会がねじれという状態、極右の国民連合から首相が出る可能性もある。そうなると、マクロン大統領としては政策を思うように進められなくなってフランスの政治、混乱しかねない。逆に与党連合が勝つ場合はどうなるのかについて。ひとまず極右政党の勢いを削ぐことができればマクロン大統領としては政権運営がしやすくなる。フランスは7月下旬から五輪を控えている。その前にやるこの議会選挙となると政治的混乱にはならないのかについて。演説の中でマクロン大統領は「五輪で世界から多くの人を迎える今だからこそフランスでナショナリストなどがはびこる状況を容認できない」と述べていて、極右政党の躍進を許した状況のまま、五輪を迎えるわけにはいかないと考えている。