路線価は1月1日時点で国税庁が算定した全国の主な道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額で、土地を相続したり贈与を受けたりした際の税額を計算する基準となる。今年の路線価がきょう公表され、調査対象となった全国約32万箇所の平均が去年と比較して2.3%上昇した。3年連続で前年を上回り、上昇率も今の算定方法になった2010年以降で最も大きくなっており、国税庁は「コロナ禍からの回復でインバウンド需要が好調なことや、全国的に再開発が進んでいることなどが要因」としている。関東地方では東京が前年比5.3%、千葉が4%、神奈川が3.6%、埼玉さ2.1%上昇するなど上昇率が高かった一方、茨城は0.7%、栃木はマイナス0.2%、群馬はマイナス0.5%とほぼ横ばいの状況となっており、東京周辺とそれ以外の地域の差が一層顕著となっている。各税務署ごとの最高路線価では東京・台東区浅草の「雷門通り」で16.7%、横浜市旭区の「二俣川駅南口駅前通で15.9%上昇するなど、観光地や商業地に加え再開発エリアやその周辺で上昇率が15%を超えた場所もあった。また、東京の銀座5丁目の銀座中央通りの路線価が去年より152万円(3.6%)上昇し4,424万円と39年連続で全国トップとなった。こうした状況について民間調査会社は「資材費が円安などでかなり高くなっている。またここで土地日・用地取得費が上がりさらに建設コストも上乗せされてマンション価格が一段と上がることがどうしても起こる」と話す。相続税の算定基準となる「路線価」の上昇が続く中、難しい判断を迫られる人たちも増えている。東京都内の実家で一人暮らしをしていた母親を今年5月に亡くした50代の女性。実家の地域の路線価はこの10年で2倍近くにまで上昇し、1,000万円以上の相続税が発生する可能性があることが判明した。女性は「相続はまだまだ先のことだと思っていたのが実質。できればなにかの形で活用しながら持続して持ち続けたいというのと、最悪は手放す・売却することを今はなんとなく考えている」と話す。相続対策が専門の民間研究所にもここ数年、都心部を中心に相談が増えている。