ピンク色にライトアップされたフランス・パリのエッフェル塔。毎年10月はピンクリボン月間として、世界各地で乳がんについての啓発キャンペーンが行われ、乳がん検診の受診を呼びかけている。年間で9万人が診断され、女性の9人に1人がかかるとされる乳がん。今、ネット上では検診や治療に関する不正確な情報が拡散している。例えば、医師を名乗る人物が、「マンモグラフィーはレントゲン1000回分の被ばく量。受けると乳がんになる」などとXで話している。こうした内容の投稿はXのほかTikTokなどのSNSで合わせて1000万回以上閲覧されている。国立がん研究センターなどによると、マンモグラフィー検査で受ける放射線量は胸のレントゲンより多いものの、通常検査の範囲内であれば健康への影響の心配はないという。今、不正確な情報がネットに多く見られる。科学的に信ぴょう性はあるのか。乳がんに詳しい医師に聞いてきた。国立国際医療研究センター病院・清水千佳子医師「一部分を切り取って、ものすごく怖がらせることを意図しているのではないか」。X線を使ってがんを比較的小さな段階で見つけることができるマンモグラフィー検査。国は、40歳以上の女性に対し2年に1回検診を受けるよう推奨。清水医師「デメリットとしては放射線の被ばくの問題がある」。がんの検診や治療に当たっては、メリットとデメリットの両方を知ることが大事だと指摘する。乳がんに関する不正確な情報。患者やその家族たちのなんとかしたいという思いにつけ込むような、科学的に根拠のないものも出てきている。そうした中、実際にがん患者はネットの情報とどのように向き合っているのか。自らも乳がんを経験し、現在は患者の支援に当たる桜井なおみさんは、「がん患者になると最新治療などの情報に乗り遅れるのが怖い」と話す。こうした心情を考えると、患者や家族が少しでもよくなるようにと今とは別の治療方法について情報を探すことも考えられる。そんなとき、よく使用するのが検索エンジン。キーワードを入れて検索するが、実は注意が必要。例えば、「乳がん 最新治療」「乳がん ステージ4」と検索すると、検索結果として自由診療によるがん治療をうたうクリニックのサイトなどが出てくる。国立がん研究センター・若尾文彦医師は、こうしたサイトには科学的根拠のない情報があふれているということを知ってほしいと話す。このほかにも、本を出版している医師は専門性が高いと思われがちだが、本は誰でも自費出版することが可能で、本の出版と科学的根拠があるかどうかは別の話だと指摘する。そのうえで、情報を見極めるためには周りとの相談が大事だと呼びかけている。情報が信頼できるのか5つのチェックポイントを紹介。