重い病気を抱えて定期的に通院している子どもは、全国で9万人以上に上る。子どもが自分の病気を理解して、積極的に治療に関わるのは難しい。その課題に向き合う取り組みを取材した。宮城・仙台市に住む10歳の田下ゆいさんは、生まれた時から心臓の難病を患っている。最近取り組んでいるのが「病院ノート」。ゆいさん自身が自分の病気について記録するもの。自分の病気や体のことを知ることで、前向きに治療を受けるようになることを目指す。このノートを作ったのは母親の田下絵理香さん。子どもが自分の病気にきちんと向き合う難しさは、医療界でも大きな課題となっている。小児科にかかっていた子どもが成人診療科に移る時の成人移行の問題。子どものころに自らの病気を理解していなかった患者が成人後、通院をやめてしまい健康を損なうケースが問題となっている。子どもの自立に役立つと、医師からも期待されている「病院ノート」。田下絵理香さんは全国の患者にも広げていきたいと考えている。「病院ノート」は、病院ノートプロジェクトのホームページから無料でダウンロードできる。専門家は国による制度の整備が必要だと指摘。