アゼルバイジャン・バクーから中継。2015年に「COP21」で採択された「パリ協定」。世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満に保つこと共に1.5度に抑える努力をすること、そして世界全体の温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにすることを目標に掲げている。そこで注目なのが「CCS」技術、工場などから排出される二酸化炭素を分離して回収、地中深くに貯留するするものでIEAは2050年時点で実質ゼロにするためには世界全体の排出量1~2割は地下などに貯留する必要があるとしている。民間のシンクタンクなどのまとめでは世界で計画されているCCSの数は年々増え現時点で628だが実際に稼働に至った施設は50に留まっている。今年9月に開業したノルウェー・オイガルデンにある工場では各地の工場で出た二酸化炭素を液状化して圧縮、専用の船でこの施設まで運びパイプラインで約100km沖合で地下2600mに貯留するが漏れることはないという。運営企業はノルウェー・英国・フランスの大手エネルギー企業が共同で企業を立ち上げノルウェー政府が支援、「ノーザンライツ」と名付けられ世界が注目している。一方CCSを巡っては課題の一つに「コスト」がある。現在EUでは企業に温室効果ガスを排出する権利である排出枠を割り当て出た部分は他企業と売り買いできる制度を導入、1トン60ユーロほどだがノーザンライツが二酸化炭素を引き取る金額は高額なため企業にとってCCSを利用するメリットが少ないと指摘、ノーザンライツでは運搬コスト削減で今後引取金額を下げたいとしている。2つ目の課題に「地元の理解」がある。フランスのピレネー山脈に近い盆地にあるフランス企業が進めるCCSの計画、地元の環境団体モブレスさんは不安を感じていて地震などで漏れ出すリスクなど企業に尋ね安全な貯留ができモニタリングも行うなどと説明を受けたが不安は解消できなかった。ローラン町長は住民の不安に加え地元企業からの懸念の声が上がる中団体を構成する全60の自治体が計画に反対、企業やフランス政府に中止を訴え地域を上げて反対活動を行うことにした。取材に対し企業からは「この地域では地元との協議が難航しているため候補地として検討しない」と計画見直しを明らかにした。専門家はCCS計画に地元が反対している例は欧州でも複数出ていているということ。