問題の国有地があるのは埼玉・戸田市・県営戸田公園。昭和15年に予定されていた幻の東京五輪のためにボートコースが造られその一部が昭和29年から競艇場となっている。会計検査院によると昭和41年春に県が、公園用地として無償で使いたいと申請していたが、国有地が公営ギャンブルの開催区域に含まれていたことから、この年の秋に当時の大蔵省が国有財産法に基づき無償ではなく、有償の貸し付け契約を結ぶべきだという方針を決めていた。しかし埼玉県と金額などの条件が折り合わない中、契約締結に向けた交渉が尽くされず、58年間土地の使用料を徴収できていなかった。この間に競艇場内の国有地の一部が地元の戸田市によって所有権登記されていたほか、競艇の主催者によって国の許可なくオッズ盤などの大型設備が設置されていた。このため会計検査院は財務省に対し、国有財産の管理者としてきちんと管理を行い速やかに埼玉県と有償貸し付けの契約を結ぶよう求めた。財務省は「契約締結に向けた働きかけが難航し、結果として長年、土地の使用料を受け取れていなかったが、会計検査院の指摘を受けて交渉した結果、県と合意できたので契約締結を急ぎたい」としている。