賃金の引き上げの動きについて。待遇改善に加えて賃金制度を見直す動きも出ている。ソニーグループは、ことし4月入社の正社員の初任給を大卒、大学院卒ともに増やし、大卒の場合は31万3000円、大学院卒の場合は34万8000円に引き上げる。引き上げ幅は大卒の場合で14%となる。また大和ハウス工業は、ことし4月から入社する新卒の正社員の初任給を一律10万円引き上げて、大卒で35万円とするほか、正社員を対象に、年収ベースで平均10%の賃上げを実施する。両社は賃金の制度も見直す。大和ハウス工業は、月額の給与と賞与の比率を見直した。業績に左右されない月額の給与を大幅に引き上げる一方で、賞与は引き下げる。ソニーグループは、冬のボーナスを段階的に廃止する。その分を月給と夏のボーナスに振り分けることを決めた。そうすることで、会社の業績の好不調に左右されにくい制度にしようというねらいがある。賃金動向に詳しい、リクルート・高田悠也特任研究員は「業績がよかろうと悪かろうと“賃金が高い会社”をアピールする意味では、基本的には業績連動でないところでしっかりアピールしていくのが重要。“明確に採用に対する競争力を上げる”を意識した取り組み」と述べた。