高橋克典さんが愛媛県のとべ動物園にいるピースに会いに向かった。ピースは1999年12月に生まれた。ピースの母親バリーバは動物園で育ったため子育ての仕方がわからず飼育員の高市敦広さんが育てることになった。当時、人工哺育の成功例は国内ではなく高市さんは母乳に代わるミルク作りに苦戦した。アザラシ用のミルクが合わず下痢をすることがあったが、試行錯誤の末ピースに合うミルクが完成した。命をつなぐためには24時間つきっきりで子育てする必要があり、高市さんは夜は動物園から連れ帰り自宅で育てる決意をした。当時、高市さんには妻の美由紀さんと2人の子どもがいた。免疫力が弱いホッキョクグマの赤ちゃんには感染症の心配があり、美由紀さんはピースに汚れがつくたびに消毒を行った。ピースの鳴き声が続くと高市さんの睡眠時間は削られた。緊張が続く毎日で高市自身も体調を崩すこともあった。次第に長女の菜摘さんや弟の賢悟さんが高市さんの代わりにピースの面倒をみるようになり、ピースは母グマに甘えるときに出すささ鳴きをするようになった。