男女ともにがんの中で多いのが「大腸がん」。国立がん研究センター研究所・柴田分野長らのグループが、日本人28人を含む世界11カ国・約1,000人の大腸がん細胞を詳しく解析したところ、これまでとは違ったがん発生のメカニズムがあることが分かった。そのメカニズムとは一部の腸内細菌が特定の毒素を作る。その毒素が細胞のがん化につながる「SBS88」や「ID18」という遺伝子変異を引き起こすと言われている。この遺伝子変異が日本人の患者の半数に当たる14人で見つかったという。日本以外の国ではこうした変異がある患者の割合は1割~2割程度だった。柴田さんらは「日本人の大腸がんの半数にこの毒素による遺伝子変異が関係している可能性がある」としている。さらに今回、日本人の大腸がん患者に特徴的にみられたこの2つの遺伝子変異は、患者の年代別に見ると50歳未満に多い傾向にあったという。研究グループでは「日本人の特徴に合った薬の開発が必要」としている。