1983年、長野県の町中で生まれた加勢さん。地元の中学・高校に通い、卒業後は車関係の部品を扱う会社に就職。社会の荒波にも稀ながら仕事に奮闘する中、21歳の時、高校の同級生だった久美子さんと結婚。3人の子どもをもうけた。「家族のためにもっと頑張ろう!」。よりいっそう気合を入れ、忙しくも幸せな日々を送っていた。しかし、24歳の時、会社に行くと体に異変が。病院に行くと、過度な不安や恐怖が続くことによる日常生活に支障をきたす疾患・不安症と診断された。加勢さんの場合、不眠・動悸・めまいなどに悩まされ、ある時は不安に耐えられず、突然、雨の日に裸足で外に飛び出してしまったこともあるという。家族や同僚も心配してくれたが、逆にその優しさに応えられない焦りから症状はどんどん悪化してしまった。社会に復帰できないまま、貯金を取り崩す日々。周囲に助けられながら自宅療養。その間、実に10年、妻が診療所の事務員として働き、家族を支えていた。妻の提案でリフレッシュにと大好きな釣りをしに大鹿村を訪れた加勢さん。その時、見知らぬおばあさんに…。
