安全保障政策の軸となる3文書の改定に向けてきょうから政府の有識者会議がスタートする。まず「安保3文書」とは1つ目は10年後を見据えた安全保障の基本方針である「国家安全保障戦略」。この基本方針を達成するための目標である「国家防衛戦略」、そして3つ目はどのような体制や予算規模が記載している「防衛力整備計画」。前回は2022年に改定され、敵のミサイル発射拠点などを攻撃する「反撃能力」の保有を認めること。そして2027年度までに防衛費GDP2%(約11兆円)へ倍増させることが初めて明記された。本来は2027年に見直すことになっていたが、高市総理は前倒しし、今年中に改定することを目指すとしている。この背景にあるのは中国や北朝鮮の動向やロシア・ウクライナ侵攻などを経てこれまでとは違う安全保障環境に直面していることがある。改定のポイント、論点のひとつが“新しい戦い方”。アメリカとイスラエル・イランの攻撃では大量のドローンが投入されるなど戦い方が大きく変わっている。またこれより前からロシアとウクライナの戦闘でもドローン攻撃が頻繁に行われてきた。新しい戦い方はドローンなど最新技術を用いたものをかつ大量消費することを前提としたもの。ロシアがウクライナを侵攻し、すでに4年が経過したように長期化も見据えている。ドローン以外にも弾薬や部品、燃料確保、物資輸送など少なくとも年単位で対応することが必要だという指摘もある。世界市場では中国メーカー5社で8割のシェアを持っている。日本の産業用途に限りみても中国製が9割で日本メーカーの割合は3%にとどまっている。今後は有事に備え、日本国内での生産基盤を整えていくことも検討されている。そして大量のドローンを同時運用したり高度な情報収集などAIのさらなる活用もはかる見通し。別の論点としてあがっているのは「原子力潜水艦」導入の是非。原子力潜水艦は原子力を動力とする潜水艦のことで、日本での原子力の利用は平和の目的に限ると法律で定められている。おととしには当時の林官房長官が「我が国が原子力潜水艦を保有することは難しい」と発言していた。自民党と日本維新の会が去年10月に結んだ連立合意書のなかに「長射程ミサイルを搭載し長距離・長期間の移動を可能にする次世代の動力を活用した潜水艦の保有に向け政策を推進する」と書かれている。この次世代の動力には原子力潜水艦の導入も念頭にあるとされている。現在原子力潜水艦を保有している国はアメリカや中国、ロシア、イギリスなどといった6か国。オーストラリアや韓国も保有計画を進めている。ただ地球の裏側まで航行できることなどから「自衛のための必要最小限度を超えているのでは」との慎重論もある。「非核三原則」の見直しに踏み込むかどうかにも注目。日本が平和国家として貫いてきたもの。2022年の国家安保戦略のなかでは「三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらない」と明記されている。高市総理も以前からの持論では「持ち込ませず」といった部分に関してアメリカの核抑止力を低下させるおそれがあり現実的ではないとしている。ただ、高市総理は総理になってからは非核三原則の見直しを明言していない。過去の外務大臣答弁のなかで有事の際には「時の政権が政権の命運をかけて決断」するという答弁を引き継ぐ考えを示している。非核三原則の見直しをめぐっては野党や被爆者らからは反発が強く、自民党の議論のなかでも今のところ非核三原則について論点としてはあげられていない、などと伝えた。
