富士山は活火山で現在は静穏な状態が続いているが、過去に噴火を繰り返してきた。国のワーキンググループが2020年にまとめた報告書では、富士山で大量の火山灰を伴う大規模な噴火が起きた際、風向きや風速によっては首都圏の鉄道や車の通行が困難となるほか、物流が滞ることで水や食料が不足し、短時間で都市機能がまひする可能性が指摘されているが、具体的な対策は進んでいない。このため国は、富士山などの噴火で大量の火山灰が降ることを想定し、それらの処理方法や物資の輸送手段など、どのような対応が必要か今年度中にガイドラインを取りまとめる方針を決めたことが、関係者への取材で分かった。ガイドラインの策定に向けて、国はあすにも初めての会合を開き、火山や防災の専門家らが出席して議論が進められる見通し。富士山を巡っては、地元の自治体が噴火に備えた対策に取り組んでいるほか、東京都や千葉県なども独自の指針を打ち出していて、首都圏を含む広域的な火山防災が強化されることになる。