北九州市小倉北区の旦過市場は大正時代からの長い歴史を持つ街のシンボルの一つ。アマチュア画家・田口高明さんは20年以上にわたり旦過市場を描いてきた。幼い頃から旦過市場に親しんできた田口さんは高校卒業後、就職で千葉県へ。35歳で地元に戻った。40歳の時に仕事の傍ら絵を描き始めた。北九州市は老朽化や防災面の対応のため、地区の再整備を進めている。2030年度末までに区画整備が行われ、今ある店舗は全て取り壊される予定だ。鮮魚店も廃業を検討しているという。長年続いてきた店の趣や息づかいを描き留めたいと、田口さんは筆に思いを込めて色付けする。市場の空気感を絵に注ぎ込むことを大切にしているため、仕上げまで現地で行う。仕上げに炭の粉でたたずまいを表現する。鮮魚店・浜田智子さんは「市場がきれいになくなってしまったら人の記憶も薄れていく。絵に残していただくというのはメモリアルとして残しておけてうれしい」と語った。旦過市場が新たな姿に変わっても田口さんは描き続けていくつもりだ。田口さんは描かせてもらったお礼として仕上がった絵を絵はがきにプリントしてお店の人に渡している。毎年、市内の喫茶店で個展を開いている。
