NHKの経済コラムから、経済統計のある指数について取り上げる。指数は日銀短観の中にある。日銀短観は、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数で、景気判断に使われる代表的な統計。「景気判断DI」と呼ばれていて、最も注目される指数だが、これ以外にも短観には多くの指数が公表されている。その中で最近注目されているのが「借入金利水準判断DI」で、金融機関から資金を借り入れる際の金利が「上昇」していると答えた企業の割合から「低下」していると答えた企業の割合を差し引いて出されるもの。過去の推移を見ると、2010年からしばらくマイナスになり、深いマイナスがあるのが2016年。この年はマイナス金利政策が導入された。その後もマイナスが続くが、2021年にはゼロに。この年は日銀は0%程度に抑えていた長期金利を一定の範囲で変動することを容認した。そしてことしはマイナス金利政策の解除もあり、前回6月の調査ではプラス32と17年ぶりの高さになった。借り入れる金利が上がっていくと当然、企業の負担は増えていく。三菱UFJリサーチ&コンサルティング・小林真一郎主席研究員は「指数の急上昇は、経営者が将来さらに金利が上がると見込んでいることを表している。過度の警戒感から投資が冷えてしまうと、景気が腰折れするリスクがある」とコメント。日銀はきょうこのあと、9月に調査した短観を発表する。景気の先行きを見るうえで、借入金利水準の指数にも注目。