2023年12月末、指令員のシフトなどを管理する後方支援室。新幹線総合指令所の責任者・輸送指令長。災害・事故時に重要な判断を担う。緊急停止・運休・運転再開などを最終的に判断する。指令長も24時間勤務、3人で回している。JR東海指令担当課課長代理・増田さんは月に3回ほど指令長として勤務することもあった。2023年12月30日、東京。石井さんは長男と三男を連れて北海道・富良野へスキー旅行へ行く予定だった。中学受験を控えた二男は夫と留守番。2023年の年末、2024年の年明け穏やかに始まった新年。増田さんは後方支援室で管理業務をしていた。379本の運行が予定されていたが大きなトラブルもなく穏やかに過ぎていった。平穏だと思われた2024年の元日。地震が発生。新幹線の停電。最高速度285キロの東海道新幹線は揺れをキャッチすると自動で送電を停止させ速度を落とす。それが東海道新幹線早期地震警報システムTERRA-S。大阪や東京で震度3~4の揺れを観測しTERRA-Sが作動し新幹線が停まった。すぐに区間内の新幹線が安全停止したかを確認し電力指令からのアナウンスを各車両に伝えた。その地震とは2024年1月1日午後4時10分に発生した石川県能登半島を震源とする最大震度7の巨大地震・令和6年能登半島地震。TERRA-Sによって影響がないと判断された小田原-豊橋の列車は通常通り運行。復旧に向けて大事なのは地震時巡回指示書。地震による線路などへの影響をコンピューターが自動解析。この時、巡回の必要はなかった。すると指令長を中心に各部署のトップが集まり情報を交換。そして午後4時34分、東海道新幹線の運転が再開した。24分の遅延、提示ダイヤに戻すのが指令所の役目。
住所: 神奈川県小田原市