始まった衆議院予算委員会は与野党の間で激しい論戦が繰り広げられた。与党が年度内成立を目指している新年度予算案について自民党・小野寺政調会長は「野党とも誠実に向き合いながら審議を進め、1日も早い成立を期したい。予算に込めた思いを聞きたい」とただし、石破首相は「AI・半導体分野での投資を促進する。官民連携のもと着実に進めていき成長力を高めていきたい。“令和の日本列島改造”にも関係するが、地方の潜在力を最大限に伸ばしていくため地方創生交付金を倍増していく」と語った。立憲民主党・城井崇衆院議員は「国民生活の苦しい状況を改善するためには政府案のままではだめ。その柱は物価高対策。主張に耳を傾けて国会修正をするよう強く求めたい」とただし、石破首相は「そのために予算委員会がある。議論を承りながら、よりよい方法というものを目指したい。現時点では最もふさわしい、最もいい予算案として提案をしている」と述べた。偽情報などのリスクも指摘される生成AIについて小野寺政調会長は「日本国民が安全・安心に使えることも大切」とただし、石破首相は「いかにして安心・安全でAIの研究開発、活用ができるかについて基本計画をつくっていかなければならない」と述べた。衆議院予算委員会。政治とカネの問題を巡って立憲民主党・長妻代表代行は「都議会の“裏金議員”は“裏金”を何に使ったのかはっきりしない。ノルマ以上は自分のポケットに入るような仕組みもあった。公開しなさい、つまびらかにしなさいという指示をするか」とただし、石破首相は「法にのっとって適切に判断すると都連からそれぞれの議員に対して、そういう指示を出していると承知。都党として適正に判断していく」と述べた。政治とカネの問題では企業団体献金の扱いを巡る動きも。自民党は透明性を高めるため政党ごとに寄付の総額や高額の寄付をした企業や団体の名称を公表することなどを盛り込んだ法案を衆議院に提出した。自民党政治改革本部・小泉進次郎事務局長は「個人献金が良くて企業団体献金が悪というのは、まったく成り立たない。“禁止より公開”をさらに補強するため公開強化法案を出させてもらった」と述べた。一方、立憲民主党・野田代表は「業団体献金を禁止する法案を多くの野党で共同提出できるように環境を整えていきたい」という考えを示し、「維新とも協議している。他の政党にも呼び掛けていけるようにしていかなければ」と語った。少数与党で迎えた初日だったが、予算審議は実際に変わったのか。様変わりしたと思う。自民党には耳を傾ける低姿勢が見えたし、修正を求めた立憲民主党には責任野党としての姿勢がかいま見えた。来週以降も論戦は続く。現地時間の7日にはワシントンで石破総理大臣とトランプ大統領との初めての日米首脳会談が行われる見通しとなった。帰国後、予算案の衆議院通過に向けて野党の賛成を得るため異例の修正を行うのかどうかが焦点となる。