山直ホームに入所が決まったTさん(46)は9か月前からショートステイで滞在していた。100人を超える待機者の中から選んだ理由は「家族がいない」。73歳の母親は体調が悪化しても自宅で娘を支えていた。せんなん生活支援相談室の相談支援専門員として親子を支えていた嵯峨山徹子さんが母親について語ってくれた。救急搬送された母親は肺がんでリンパ節にも転移していて手遅れだった。嵯峨山さんは母親から娘の暮らしを託された。話すことが困難だった母親が筆談した嵯峨山さんへのお願いを見せてくれた。嵯峨山さんはその日のうちにTさん親子が住む公営住宅を訪れ、現金や衣類を取り出した。炊飯器には炊きたてのご飯が残されていた。母親は「骨が残ると迷惑をかけるから、残さず焼き切ってくれ」と告げたという。がん診断の5日後に母親は亡くなった。身寄りがなく、たった1人で娘を支えた人生だった。山直ホームは母親が入院した日にTさんをショートステイで受け入れた。大阪府では入所施設の待機者数が2017年以降1000人を超えたまま。
去年11月、東京・新宿区で全国障害児者の暮らしの場を考える会の会合が開かれた。国は障害のある人を施設ではなく、地域の住宅で支える方針を掲げている。入所施設の定員は削減され、入所者数は2005年から2022年にかけて2万人以上減少(約14%減)した。施設に代わるはずの障害者のグループホームは利用者4~5人に対して、職員が1人しかおらず、全介助が必要な人や激しい行動のある人は受け入れが難しい。番組が厚生労働省へ質問書を出したところ、障害者が地域で安心して生活が送れるように取り組むなどと回答した。その後、全国障害児者の暮らしの場を考える会は厚労省との面談が決まった。入所施設に頼らざるをえない障害者と家族の思いを伝え、削減ではなく、必要な数を整備してほしいと訴えた。面談に参加した山直ホーム施設長の叶原さんは「実態が解決されるまで声を上げ続けていかなくてはいけない」と語った。
山直ホームでは国本武さんのショートステイが2年2ヵ月、Kさんは4年3ヵ月となった。待機者は122人のまま減っていない。国は2026年度末までに施設入所者数5%以上削減を目標に掲げている。
去年11月、東京・新宿区で全国障害児者の暮らしの場を考える会の会合が開かれた。国は障害のある人を施設ではなく、地域の住宅で支える方針を掲げている。入所施設の定員は削減され、入所者数は2005年から2022年にかけて2万人以上減少(約14%減)した。施設に代わるはずの障害者のグループホームは利用者4~5人に対して、職員が1人しかおらず、全介助が必要な人や激しい行動のある人は受け入れが難しい。番組が厚生労働省へ質問書を出したところ、障害者が地域で安心して生活が送れるように取り組むなどと回答した。その後、全国障害児者の暮らしの場を考える会は厚労省との面談が決まった。入所施設に頼らざるをえない障害者と家族の思いを伝え、削減ではなく、必要な数を整備してほしいと訴えた。面談に参加した山直ホーム施設長の叶原さんは「実態が解決されるまで声を上げ続けていかなくてはいけない」と語った。
山直ホームでは国本武さんのショートステイが2年2ヵ月、Kさんは4年3ヵ月となった。待機者は122人のまま減っていない。国は2026年度末までに施設入所者数5%以上削減を目標に掲げている。