新しい血液製剤を使い始めて7年たった1986年1月、龍平の母は医師からHIVに感染していると告げられた。濃縮血液製剤の原料はアメリカから輸入されていた。使用される血液は主に血液を売る人から集めていた。数千人から数万人の血液をまとめ濃縮血液製剤を作っていた。万が一その中にHIV感染者がいれば、そこで作られた全ての血液製剤にHIV感染の危険があった。龍平のHIV感染が判明する10か月前、厚生省は海外在住の日本人を初めてエイズ患者と認定。その2ヶ月後には国内で初めてエイズ患者が見つかった。認定された5人のうち、3人が血友病患者だった。こうして人々はエイズを認識するようになり、メディアはエイズの恐怖の症状を特集していった。血液製剤を使用しているというだけで、血友病の患者はエイズという間違った認識も広がった。
龍平のHIV感染がわかる1年前、製薬会社「ミドリ十字」の血液製剤に関して他社の営業マンが、ミドリ十字のものは輸入の原料のものを使っているので、エイズの危険性が高いと営業をしていた。ミドリ十字は営業マンに国内原料で作られているとウソのアピールをしろと命じた。ほとんどの営業部員はこれを事実だと信じ販売を続けた。実はこの数年前から厚生省ではアメリカで血友病患者にエイズ患者が増えているとの情報を得て、エイズ研究班を発足していた。会議で非加熱濃縮製剤の使用を辞める提案も出たが医師たちが、前の薬に戻すのは患者にとっても負担になると反対。厚生省は非加熱濃縮製剤を認証し続けていた。その2年後、HIV感染対策の血液製剤が出た。龍平のHIV感染判明の半年前、加熱血液製剤が製造販売の認可を得た。しかしミドリ十字では会社の利益を守るため非加熱製剤を売り続けていた。一方、血友病患者は厚生省に非加熱の血液製剤を回収するよう申し出を行っていた。しかし厚生省は企業に損害を与えると回収しなかった。こうして血友病患者1400人以上がHIVに感染してしまった。
龍平のHIV感染がわかる1年前、製薬会社「ミドリ十字」の血液製剤に関して他社の営業マンが、ミドリ十字のものは輸入の原料のものを使っているので、エイズの危険性が高いと営業をしていた。ミドリ十字は営業マンに国内原料で作られているとウソのアピールをしろと命じた。ほとんどの営業部員はこれを事実だと信じ販売を続けた。実はこの数年前から厚生省ではアメリカで血友病患者にエイズ患者が増えているとの情報を得て、エイズ研究班を発足していた。会議で非加熱濃縮製剤の使用を辞める提案も出たが医師たちが、前の薬に戻すのは患者にとっても負担になると反対。厚生省は非加熱濃縮製剤を認証し続けていた。その2年後、HIV感染対策の血液製剤が出た。龍平のHIV感染判明の半年前、加熱血液製剤が製造販売の認可を得た。しかしミドリ十字では会社の利益を守るため非加熱製剤を売り続けていた。一方、血友病患者は厚生省に非加熱の血液製剤を回収するよう申し出を行っていた。しかし厚生省は企業に損害を与えると回収しなかった。こうして血友病患者1400人以上がHIVに感染してしまった。