京都大学医学部付属病院によると、膵臓の細胞が正常に働かず血糖値を下げるインスリンが分泌されない1型糖尿病について、iPS細胞から膵臓の組織を作製し患者に移植する治験を来年にも始める。1型糖尿病患者はインスリン製剤を毎日注射する必要があるが、血糖値が下がり過ぎると神経機能が低下し、意識障害などが起こる場合がある。健康な人のiPS細胞からインスリンを分泌する膵島細胞を作製し、シート状に加工したものを複数枚患者の腹部の皮下に移植。先月下旬、京大の治験審査委員会で承認され、国が所管する医薬品医療機器総合機構(PMDA)に計画書を提出した。京大と武田薬品工業との共同研究を進めるオリヅルセラピューティクスが膵島細胞の作製を担当し、早ければ来年から患者3人(20歳以上65歳未満)に治験予定。京大などは2030年以降の実用化を目指している。