睡眠のデータを集めて、新たなビジネスを生み出そうという現場を取材した。今月、都内にオープンした70人が宿泊できるカプセルホテルでは、寝ている間に睡眠の質をさまざまな角度から分析。体に機器を付けず、眠るだけで分析ができるところが特徴。睡眠時間だけでなく、途中で目が覚める回数や効率よく睡眠ができたかなどを後日、利用者にメールで提供する。ホテル事業に乗り出した大手システム会社では、さまざまなメーカーに商品開発などに必要なデータを提供するサービスを行ってきた。その中で、引き合いが増えていた睡眠データに目をつけ、新規事業としてホテル業に参入することにした。得られたデータを本人同意のもと、個人が特定できない形で食品や製薬会社などに提供して、ビジネスを広げていきたいと考えている。睡眠データをマンションの開発に生かそうという動きもある。マンション建設大手が大手通信会社などと共同で実証試験をしている、睡眠に特化した部屋を紹介。天井や壁など、部屋の半分近くに取り入れた木によるリラックス効果を期待している。住人はセンサーを身につけてアプリを連動。睡眠を促す音楽をかけて、センサーが眠りに落ちたことを検知すると音楽は自動で止まる。そして朝になり、眠りが浅くなったタイミングをセンサーが検知すると、ブラインドが開いて照明が点灯。すっきりと起きられるようにしている。会社は社員に実際に生活してもらい、睡眠のデータを収集。これを検証して、睡眠に特化した新たな賃貸物件の開発などにつなげていきたいと考えている。OECDの調査では、日本人の平均睡眠時間は世界各国の平均より1時間以上短く、ぐっすりとよく眠りたいという需要は高いものがある。睡眠に関するビジネスはこれからも広がりそう。