「油そば一二三」は東北地方を中心に5店舗を展開する油そば専門店で2月に福岡初出店となった。こちらの油そばは麺を2倍にしても値段はそのままである。豊富なトッピングメニューに加えてマヨネーズやガーリックパウダーなど6種類の調味料で味変が楽しめるお得感も人気につながっている。去年4月までの1年間でラーメン・餃子チェーンのうち店舗数の増加率の1位と2位は油そば専門のチェーンが占めた。ラーメンと違ってスープがないことで、コストを抑えることができるのが油そばの店の強みである。長時間スープを煮込むラーメンに比べると、油そばは厨房・器具がコンパクトであり初期費用を抑えることができて出店のハードルが低いという。一方、福岡県内に5店舗を展開する「横浜家系ラーメン春吉家」は3年前から油そばを出している。人気の油そばを出すことで、客層を広げることが狙いだった。去年、全国のラーメン店の倒産件数は過去最多にのぼっていた。背景にあるのは物価高である。円安や戦争でラーメン作りに欠かせない小麦や燃料費が高騰。さらに天候不順や鳥インフルエンザの影響で、野菜や卵の価格も上がり材料費は2022年からの2年間で15.6%も上昇している。そこでこの店は従来のメニューで使っていた材料だけで作れる油そばを開発した。神奈川県を中心に7店を展開する「らぁ麺善治」は去年11月1店舗をラーメン店から油そば専門店に転換した。ラーメンから油そばに転換したことで、原価率はおよそ10%抑えられ利益率は最大で4倍になったという。