長崎県平戸市の平戸おくんちは、神輿が来ることを知らせる毛槍が宙を舞う。平戸は長崎・出島に移転する以前、一世紀に渡って海外貿易の拠点だった。平戸城下にはかつて30軒以上のお菓子屋さんが並んでいたという。平戸 蔦屋には究極の南蛮菓子とも呼べるカスドースがある。カスドースは400年製法が守られてきた。蔦屋24代目の松尾俊行さんは、航海中に硬くなったパォン・デ・ローを柔らかくするために技術が伝わった、と説明していた。カスドースはカステラをたっぷりの卵黄で浸し、糖蜜で煮て、さらに砂糖をこれでもかとまぶす。食べることができたのは平戸のお殿様だけだったという。平戸藩がなぜお菓子を重要視し、発展に力を注いできたのか。平戸 オランダ商館にある万延元年菓子図鑑や、百菓之図という巻物もあった。これらのお菓子の多くは贈答用で、門外不出のものだった。菓子は外交や交渉の切り札で、ポルトガル人は、お菓子とともに人の心を動かす力も伝えた。