中国ではいま遺言書を作成する若者が増加しているという。「2017年に若年層や中年層で遺言を作成した人はわずか279人だったのに対し2023年は7,000人以上、約24倍増加しました」と話すのは弁護士で中華遺言バンク創設者の陳凱さん。「遺言バンク」について陳さんは「私達の使命は遺言を中国のすべての家庭で取り入れてもらうよう推進すること。中国は数十年の改革開放を経て一般家庭でも多くの財産を築くことができるようになりました。しかし中国では長い間”遺言”という問題はタブー視されてきた傾向がある」と話す。中国では国民の財産が増えたことで遺産相続に関するトラブルが増加。これに対処しようと遺言の作成・登記・保管を行う「中華遺言バンク」が創設されたという。創設者・陳さんは遺言書を作成する若者が増加している現状について「コロナ禍の影響など不況で財産を守る意識が高まっていることが要因の1つ」と話す。さらに「いままで遺言がタブー視されてきたことを若い人たちはあまり気にしない。彼らのほうが柔軟で遺言を試してみてもいいと思っているのでしょう」とのこと。また、遺言バンクを利用せず自ら遺言書を作成する若者も。広東省在住で公認会計士のヨウさんは、鍵付きのノートに遺言を書いた。なぜ26歳の若さで遺言を書くという選択をしたのか聞くと「この2~3年で立て続けに親戚が亡くなった。若者の突然死のニュースもSNSでよくあがっている。自分が死んでも遺言があれば家族は私の財産が分かってスムーズに手続きできる」と話す。遺言書には電子決済に必要なパスワードなどのほか、家族に向けたメッセージを添えた。ヨウさんが死を意識した背景には長時間労働問題もあったという。若者の就職難が指摘される中、長時間労働も長く改善されていない。そんな中国の若者の間では「45°族」と呼ばれる人たちが新たに登場したという。彼らはどんな人たちなのか。