警察が大統領府の捜索に着手したと発表するなど、包囲網が狭まる韓国・ユン大統領がきょう、談話を発表し「弾劾であれ、捜査であれ、立ち向かう」と強調した。先週、国民に謝罪し、対応を与党に一任するとしていたが、態度を一変させた。連日、韓国・ソウルで行われているユン大統領の弾劾を求める集会。一方の大統領を支持する集会も行われている。非常戒厳の宣言から1週間余。韓国国内は今も混乱が続いている。きょう5日ぶりに談話を発表したユン大統領は、非常戒厳を宣言した理由について「巨大野党の反国家的な行為を国民に知らせ、野党に警告することが目的だった」と明かした。さらに「野党はこれまで弾劾を乱発させ、国政をまひさせてきた」と批判。その上で「非常戒厳は内乱に当たらない」と強調。また中央選挙管理委員会の庁舎に軍を投入した理由については「選挙管理委員会などに北朝鮮からハッキング攻撃があったことを情報機関が発見したものの、選挙管理委員会がサーバーシステムの点検を拒否したため」などとしている。非常戒厳を巡る捜査の行方も注目されている。きのう、大統領府の捜索に着手した警察。きょう警察庁の長官とソウルの警察のトップについて、内乱の疑いで逮捕状を請求したと発表。迫る捜査の手。韓国・ユン大統領は「弾劾であれ、捜査であれ、堂々と立ち向かう」と述べた。韓国・ユン大統領の談話に、与党「国民の力」のハン・ドンフン代表は「大統領に早期退任の意思がないことが確認された以上、直ちに職務停止にする必要がある」と述べ、与党として弾劾に賛成する必要があるとの考えを示した。ただ別の与党幹部はきょう午後、記者団に対して「現在、党の方針は弾劾案の否決。方針を変更するには、議員の3分の2以上の同意が必要だ」と述べて、議員総会を開き党内で議論を続ける立場を示している。与党はユン大統領の去就について、来年2月に辞任して、4月に大統領選挙を行う案と、来年3月に辞任して5月に選挙を行う案の2つをこれまでに検討してきた。仮に弾劾案が可決された場合、憲法裁判所が、180日以内に弾劾が妥当かどうか、最終的な決定を言い渡すことになっている。憲法裁判所が弾劾を妥当だと言い渡せば、大統領は罷免され、大統領選挙は60日以内に行われることになる。野党側は、大統領の弾劾を求める議案をきょう夕方、再び国会に提出。議案はあすの本会議で報告され、野党側はあさっての採決を目指すとしている。